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新人弁護士の正義

新人弁護士の正義である「負ける事件であっても最善を尽くしてがんばらなければならない」という正義は、それはそれで正しい。ただ、それは戦術的な意味での正義である。 一方、ベテラン弁護士の正義である「負ける事件はやらない」という正義、これはこれで正しい。これは、戦略的な正義である。 どちらも正しいが、どちらが、結果に対して、大きな寄与をするかといえば、戦略的な正義の方であろう。 負ける事件はやらない、というポリシーを100パーセントつらぬくのであれば、100戦100勝も夢ではない。 事件を選ばず、負ける事件であっても、とにかくがんばる、というポリシーをつらぬくとすれば、勝率は50パーセント前後をうろちょろするであろうか。 ただ、「負ける事件はやらない」というポリシーは、他人が聞くと、とてもイヤな気分になる(笑) 私も、自分以外の人間が、そう言っていたら、かなりイヤだ。 まして、新人弁護士が 「負ける事件なんか、ちから入れてもしょーがねえよ」 などと言っていたら、うしろからケリを入れて、「しのごの文句を言う前に、ちからいっぱい、やってこんかあ!」と、怒鳴りつけるだろう。 ただ、「負ける事件はやらない」というポリシーが、依頼人の利益に反するか、というと、そんなことはない。 ある意味では、むしろ、依頼人の利益になることだ。 負ける事件に何年もつきあうことになれば、依頼人にとっての負担が大きい。 また、負ける事件でも、勝つ事件でも、訴訟のための費用は必要だ。さすがに「負ける事件だから費用は無料」などということはない。 それならむしろ、「この事件は負けるから、やめておけ」と言われた方が親切というものだ。 もっとも、現実には、負けるからやめておけと言うと、「負ける事件であっても、なんとかするのが弁護士ではないですか!」などという無茶を言ってくるやつは多いが、それはそれで、しょうがない。 ただ、そういうやつは、おうおうにして、実際に予告どおりに負けると、もっと文句を言ってくる。

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